精神力を鍛える?

前々回は、
勝ち組に入るための最も簡単な方法は、
『期待値がプラスの手法を一つで良いから使いこなせるようになる』事だ、
と言う話をしました。

 

前回は、
『期待値がプラスの手法などいくらでもある』事を、
ギャップと前日のローソク足の色の例を上げて説明しました。

 

では、『手法を使いこなす』にはどうすれば良いか。

 

1つの手法が使いこなせれば、
取りあえず収支はプラスになるので、
これが分かれば、
取りあえず最低限の目標達成ですね。

 

大変多くのトレーダーに共通する悩みは、
『トレード手法を使いこなせない=わかっていてもルール通りできない』
と言う事ではないでしょうか。

 

具体的に言うと、
*損切すべきところで損切できない、
*利確ポイントまで待てずに利確してしまう、
*負けるとカッとなって無駄に多くのエントリーを行う、
と言う事が最も多いと思います。
そして、そんな自分を「精神力が足りない」と思い、
なんとか「精神力を鍛えたい」と思うわけです。

 

インターネットで「精神力 鍛える」で検索すると、
「精神力を鍛える 強くなりたい」
なんて「教えてgoo」とか「ヤフー知恵袋」で相談している方がいます。
回答者の方は、
「身体と心は相互に関係しているから肉体を鍛えろ。ランニングがいいよ」
とか
「座禅をしろ」
とかアドバイスしていますね。
これらのアドバイスは本当に有効なんでしょうか。

 

誰でも経験があると思いますが、
大勢の人の前でスピーチする時なんか、
すぐに緊張でドキドキして、
いてもたってもいられなくなる、
って言う症状があります。

 

これは病気でも何でもなく、
不安や恐怖を感じる場面に出会食わすと活性化する、
自律神経の中の交感神経のごく自然な働きです。
人が不安や恐怖を感じると、
交感神経が刺激され、
アドレナリンと言う神経伝達物質が副腎から分泌され、
これが体中の臓器に様々な命令を伝えることで、
心拍数や呼吸数が増加し、
血圧が上がり、
瞳孔が拡大し、
血糖値が上がります。
これがドキドキの正体です。

 

そもそも、不安や恐怖を感じる場面と言うのは、
その人にとって、
生命維持に何らかの悪影響を与える可能性があるわけです。
そうすると、
そういった危機的状況においては、
敵と対峙して戦う、
もしくは
その場面から逃走する、
と言った行動をとる必要が出てくるわけです。

 

敵と格闘したり、
一目散に逃げたりするときには、
筋力を最大限に高めたり、
敵の動きを注視するために目を見開いたりする必要があります。
その為にはより多くの酸素や糖を全身に素早く供給しなければなりません。
だから、呼吸や心拍数、血糖値を上昇させるわけです。

 

こう言ったメカニズムは
人間の意識とは離れたところで、
脳が自律的に行っている生物としての本能的なものです。
だから、意識的にドキドキしている心臓の動きを止めることはできません。
敵が去るか、
自分が逃げるか、
あるいは敵だと思っていたものが、
実は敵ではなかった、
とわかるまでは、
止められないのです。

 

自律神経には交感神経とは別系統の副交感神経なるものがあります。
こちらは心身をリラックスさせる機能を備えています。
交感神経と逆の働きですね。
敵と戦うときは、
精神的には緊張感や集中力を高め、
身体的には筋力を最大限にして動き回ります。
戦いが終われば、
精神的にはホッとしてリラックスします。
身体的には疲れた筋肉や負った傷を癒さねばなりません。
その時には副交感神経が活躍するわけです。

 

つまり、脳は人が出くわす様々な場面において、
交感神経と副交感神経を使い分けて、
心身をそれぞれの場面に最もふさわしい状態に整えてくれているわけですね。

 

では、上述のアドバイスに有った、
座禅やランニングはこのメカニズムに打ち勝つことができるのでしょうか。
実は、できるんですね〜、これが。
心臓は意識的には動かせませんが、
呼吸は意識的に調整可能です。
これがポイントです。

 

座禅の基本は呼吸法にあります。
腹式呼吸や丹田呼吸法と呼ばれるやり方で呼吸するのです。
この呼吸法でゆっくりと深い呼吸をすることで、
自律神経の中の副交感神経を活性化することができます。
これにより数分で心身がリラックスモードに変わっていきます。
即効性があるのでトレード向きですね。

 

また、リズム運動であるランニングやジョギングも、
同じく副交感神経を活性化してくれます。
こちらはアンバランスになっている自律神経の両神経系統のバランスを回復する効果があります。

 

精神力って鍛えるもんじゃなかったんですね。


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