相場の事を知らないから負けるのか。
負け組の多くのトレーダーは、
「自分は相場のことをよく知らないから負ける」
と信じている。
でも、「相場のことをよく知っていたら勝てる」のだろうか。
あるいは逆に、
「相場の事を知らなくても儲けている人がいる」のだろうか。
まずは「相場のことをよく知っていたら勝てる」と言うのは本当か。
これはウソである。
優位性のあるトレード手法は、
相場のある特定の局面の統計的データを利用して構築されている。
例えば勝率65%の手法であれば、
いくつかの条件が満たされた場合にトレードを行うと、
100回に30〜40回は損失を出すが、
残りの60〜70回は利益を出し、
合計すると利益が損失を上回る、
と言う事になる。
従って、そのような手法を知っていることは、
ある特定の局面における相場をよく知っていることと同じだ。
でも、いくら優位性があるトレード手法を知っていても、
ルール通り実行できない人はいくらでもいる。
大半の訓練されていない普通の人は、
ノーベル賞受賞で有名な、
あのプロスペクト理論通りの行動をとってしまうのだ。
つまり、
目の前の利益はすぐに確定し、
損は出来るだけ避けようとする、
損大利小に結び付く行動パターンを取るのである。
従って、手法のルールなんて守れないのである。
では「相場の事を知らなくても儲けている人がいる」はどうか。
これは真実である。
例えば、相場のことなど知らなくても、
プロのトレーダーに指示されるがままにトレードを実行できれば、
それで十分勝てる。
あるいは、
実績のあるシステムトレードを行えば
システムの中身を知らなくても、
システムが稼いでくれる。
勝ち組のトレーダーは相場が次にどうなるかを知っているわけではない。
彼が唯一知っている事は、
上の例で挙げた手法なら、
「条件がそろったところで仕掛ければ、
100回のうち30〜40回は必ず負け、
60〜70回は必ず勝つ」
と言う事実だけである。
そして、彼が唯一完遂しようとしていることは、
統計的優位性を引き出すために、
ルール通りにすべてのチャンスを見逃さずに建玉し、
利確ポイントに到達したら利確し、
損切ポイントに到達したら損切する。
滞りなく、この作業を繰り返す。
なぜか。
回数が増えれば増えるほど統計的優位性が効果をだし、
回数に比例して利益が積みあがるからだ。
決して、相場がどうなるかが分かっているから儲けているのではないのだ。