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ト レーダーの心理
1. トレーダーになろうと思ったときから存在する心理的な壁

この講習を受けようと決意された方の中でさえも、大方の方はトレードにどっぷりつかるような生活をなさっていません。残念ながら、そのような軽い気持ちで はこの世界では生き残れないのです。

考 えてみてください。証券会社の自己売買部門のディーラーでも個人で成功しているプロトレーダーでも、相場に参加して、継続して勝ち続けているトレーダーは どこから見ても全員「プロ」なのです。「プロ」とはどういうことなのでしょうか。それはトレードを職業にしていると言うことです。会社員なら明日の仕事が うまくいくように仕事時間を中心にした生活のリズムを考えて行動します。商売人も同じでしょう。そしてトレーダーは、トレードすることを生活の中心に据え て、それ以外のことは従属的に考えて生活している人間なのです。

いかなる職業でも金を稼ぐには技術が必要なのは言うまでもありません。会 社組織に属していると、新米でも給料をもらえますが、その給料の大半は新米社員が稼いだものではないでしょう。営業職であろうが事務職であろうが、新米社 員は先輩や上司から教育されたり、指導されたりする立場であり、ミスやエラーは実害があっても大目に見てもらえる存在です。損益面からは、会社にとって何 ら利益をもたらさない存在であるだけではなく、少なくとも他人の時間を犠牲にしている分だけ会社にとって損失をもたらす存在です。

トレー ダーは会社組織に属さない分、経費や損失は自らが負担しなければなりません。新米期間が長ければ長いほど、その損失額は比例して膨らんでいきます。こうい う現実に目を向けて、できるだけ短時間に独り立ちできるように、通常の会社員が数年かけて行う修行を、長くても半年以内にまとめてやり終える覚悟と実行力 が必要なのです。

見たくない現実に向き合える「強い気持ち」、6ヶ月と言うかなり長い期間通常以上の努力を継続する「強い気持ち」。これ がもてるかどうかがトレーダーになるための第1の心理的な壁です。半年と言う期間はちょうど中学3年生が高校受験に向けて受験勉強にどっぷりつかる期間と ほぼ同じでしょう。

半 年間は受験生になったつもりで、「受験勉強」を生活の中心において生活を組み立ててみてください。

2.たった一度の失敗がトラウマに

ト レードと言う作業は100メートルを10秒前後で走ったり、文学賞を取るような小説を書いたり、大学教授になるためのような膨大な勉学の蓄積と言ったある 意味特殊な能力を必要としません。パソコン上で何度かマウスをクリックするだけでひとつのトレードを成立させることが可能なのです。

とこ ろが、この作業を上司も先輩もいない中で、厳格にいくつかのルールに基づいてたった一人で行うとなると、どうしたことか100%ルール通りにできなくなる のです。これはちょうどひとりで車の運転をするときに100%交通規則に沿って運転してはいない状況に似ています。教習所で助手席に教官が座っていると、 あなたはきっと100%言われたとおりに運転するでしょうが、ひとたび運転免許を手に入れた後は、「事故をしない程度」にしか交通ルールを守っていないは ず(笑)。「事故を起こさない程度」と言う程度とはあまり根拠のない主観的なものさしですね。そういう運転をしていると大事故を起こす可能性が高くなりま すよ~。

トレードの場合、「事故」に相当するのが「意図せぬ大損失」です。勘違いしないでください。100%ルール通りトレードすると負 けないと言うことではありません。ひとつの手法をルール通り行えば、その手法の背景にある統計的な確率で勝ち負けが発生すると言うことです。「意図せぬ大 損失」とは、確率的に発生する負けトレードと言う意味ではなく、突然急激な値動きが発生し、何らかの理由でルール通りに損切りができずパニックに陥り、 計ったようにその時に起こり得る最大の値幅で損切りをして、起こり得る最大の巨額の損失を出してしまう言う様なことです。

そして、金銭的 な損害以上にこれ以降のトレードにおいて長期間トレーダーを苦しめ悩ませるるのが心理的な深手、トラウマなのです。ルールを守っていればそのような大損失 は避けることができたのに、そうしなかった自分のふがいなさや優柔不断さに腹を立て、あるいは落胆し、しばらくトレードから遠ざかることになります。こう いう経験は1回で十分トラウマになるのです。

まずは、建 て玉をしたらまっさきに逆指値で損切り注文だけは入れる習慣を身につけてください。

3.ルール通りできない自分が信じられなくなりトレードが怖くなる

ルー ル通りできなくなるのは損切り注文を入れる場面だけではありません。オーバートレードに陥る人、サインが出てもポジションを取らない人など、仕掛ける場面 でもルールは無視されトレーダーはその結果責任を取らされることになります。テクニカル手法において、ルールとはその手法のパフォーマンスと勝率を規定し ている重要な要素です。これを無視することは、もはやその手法に基づくトレードではなくなっているわけですから、当然ながら統計的に期待されるパフォーマ ンスを得ることは難しくなります。

当たり前のことですが、バックテストを繰り返して統計的に最適化された手法をそのルール通りに行わない 場合はパフォーマンスが目に見えて下がります。つまり、そういうトレードは負けにつながりやすくなって金銭的な損失が増大すると言うことになるわけです。 さらに、ルール通りやらずに負けた場合はどうしても自分に対する心理的な負い目を背負い込むことになります。「なんでこんな簡単なこともできないんだ!」 と。そして、自分で自分が信用できなくなり、今度トレードをやったらまたルールを無視するのではないかと言う不安が付きまとうようになります。ついにはパ ソコンに向かうことができなくなってしまいます。

ルール通りにトレードできないと言う状態は、いつ何時大事故に出会うかわからない状態で す。車の運転に例えると「いつも飲酒運転してしまう」と言ったようなもの。これは心理的な治療が必要です。毎日、トレードを行ったらそれぞれについて売買 ポイントを期したチャートや建て玉数などの記録を残すこと、そしてルール通り行えなかった時の感情をできるだけ克明に思い出して日記に書き残すこと。何度 もその記録を見直してルールを無視しなくても大丈夫だと言うことを脳みそに刷り込んでください。

負けトレードがトラウマになっているある受講生とのやり取りをご紹介します。

省略
私は非常に小心者で不安要素に過敏に反応しすぎる傾向があり、それがトレードの妨げに
なっています。とくに最近はチャンスが少ないのでノーエントリーの日も多く、
なんか進歩が感じられません。これは自分で克服しなければならないと思ってい
るのですが時間がかかりそうです。
先生の推薦されていた本(ジムドノバン著のほう)を注文しましたので読んでみ
ます。
省略

相場に向かうとほとんどの人は自分が小心者と思うそうです。
不安に思ってエントリーしなかったポイントは、何を不安に思ったのか、克明に日記に付けてみてください。
もし日記をつけていないのなら、そういうところからトレードに向き合う気力を付けなければならないと思います。

ほかに不安にさせる要素としては、建て玉数と資金量、資金の性格があります。
負けたら終わりと言う状況ではいかなるトレーダーでも不安に苛まれてまともに勝てなくなります。

所詮勝率100%の手法はありませんので、トレードでもうけるためには負けトレードに遭遇することは必然なのです。
だから、サインが出たら「アホ」になって「戦闘」に参加するのです。
寄り前コメントでポイントとして挙げたところはとりあえず1枚でもいいから入ってみてください。

それから、自分のトレードを誰かほかの人に見てもらう、と言うことも効果があります。
掲示板に書き込んでもいいし、終わってから私にメールしていただいても構いません。
それが日記代わりになるので一石二鳥です。

 アドバイス ありがとうございます。不安に思ったポイントはできるだけ克明に日
 記に書いてみようと思います。そこから何か変わるかもしれません。
 ほんとおっしゃるように100%勝てる手法なんて無いのでLCはあって当たり
 前だということは自分でもわかっているのですが、入れないのはこの講座を始め
 るまでの負けトレードのトラウマなんです。

 こっぴどく やられましたか?
 私を含めてほとんどのトレーダーが経験することです。
 サラリーマン時代ですが数時間でボーナス丸々損したことがあります。
 
 トラウマの治療法は「安全な状況で意図的に不安な感情を引き起こしてこれをじっくり観察する」
 と言うことを慣れるまで繰り返すことだそうです。
 これは「暴露療法」と呼ばれています。
 
 トラウマのメカニズムは以下のようなことです。
 ①脳はストレスを感じるとアドレナリンなどを分泌して記憶力を高める
 ②不安な状況が克明に記憶される
 
 「暴露療法」とは、このメカニズムを利用して、同じことを安全な状況下で行うことで
 ③自分は対処できる
 と言うことも併せて脳に記憶させるということだそうです。
 
 「安全な状況」とはたとえば戦場で受けたトラウマなら戦場以外のところ、
 トレードのトラウマなら、チャートやパソコンなど見えないところ、と言うことになります。
 そういう状況下で不安な状況を思い出して、
 その時の感情をつぶさに観察するわけです。
 
 ①~③までを意図的に繰り返して発生させることで脳は
 ④この状況はストレスを感じる必要がない状況だ
 と判定するようになります。
 すなわち、「慣れる」と言うことです。
 
 従って、意図的に「不安」と なんどもなんども向き合う必要があります。
& nbsp;ここで逃げたらだめだそうです。
 
 たぶんですが、トレーダーがうけるトラウマのレベルは、
 兵士が戦場でうけるホンマモンのPTDSと比べれば病気とも呼べないレベルのものではないでしょうか。
 だから、疑似安全地帯として実害を最小限に抑えてトレードに参加し、
 その時の不安な気持ちと向き合って日記に詳細を記す、と言うことで
 次第に慣れていくものです。
 

体験談を交えたアドバイスありが とうございます。
私は先生のような「数時間でボーナス丸々・・」ほどの経験はありませんが、
3:7くらいで負けトレード数のほうが多く、初めは自分の思うところでエント
リーできていたのですが、そのうち負け回数がボディーブローのように効いてき
てエントリーをためらうようになりました。もちろん3:7でも損小利大の手法
なら勝つこともできるのでしょうが、私の場合利を伸ばそうとした結果同値撤退
や利小のトレードになってしまいそれがまたボディーブローとなって効いていた
のだと思います。「なんであのとき利食えなかったんだ・・」と。
一番悪いのは負けて落ち込むことがあったときもそのままにしていたことです。
もちろん反省も一応するのですが徹底的にやりませんでした。どちらかというと
「今日のことは忘れたい」と外出して気を紛らすことのほうが多かったです。
先生の推薦本少し読みましたが、

「今 の状況は、意識的にせよ無意識にせよ自分が作り出したのだ・・・」

ここにグサッときました。逃 げるから克服できないんですよね・・
「暴露療法」のように潜在意識に刷り込ませるやり方は効果があると思います。
私も負けを重ねることによって無意識に不安を潜在意識に刷り込んできたのです
から・・・ちょっと月曜から試してみます。
「日記」+「妄想」これを日課にしようと思います!
ほんとにありがとうございました。

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