寄り付いた時点で値動きが決まる!
日経225先物のザラ場での値動きは、当日のギャップの大きさ、当日の寄り付き位置と重要な支持抵抗線との位置関係、直近数日間のローソク足の形状やフォーメーション、トレンドを示唆するテクニカル指標などに大きな影響を受けます。
寄り付いた時点で、その日が陽線になるか、陰線になるかが70%以上の確率で決まっていたり、ボラティリティが低下して膠着状態=ボックス相場になる可能性が高まったりします。この傾向をあらかじめ知っておいて本番に臨むのは、トレーダーにとって極めて重要な事前準備であることは間違いありません。
ザラ場の値動きに影響を与えるもの
ギャップが与える大きな影響
わかりやすい例を挙げましょう。下表は400円以上のギャップアップとギャップダウンで始まった日の時間帯別値動きデータです(1999年3月1日〜2019年12月18日の5062件のデータから抽出)。
400円以上のギャップアップ
*注目すべきは前場の陰線率の高さです。5062件の前場の平均値は陽線・陰線とも47%前後で、残りは同時線です。つまり、400円と言う途方もなく大きなギャップアップの時は、前場は極めて売られやすいということです。負けたくなければ売りから入るべしですね。
400円以上のギャップダウン
*注目すべきは、上のギャップアップと真逆の陽線率の高さです。特に9:00〜10:00の時間帯は陽線率が66.7%と高くなっていますから、この時間帯は買いで勝負すべきと言うことがわかります。
重要指標の放れも影響大
他の例を挙げましょう。下表は日足+2σ(中心線は25日MA)を上放れた場合と下放れた場合のデータです。期間などは上記と同じです。
日足+2σ上放れ
*注目すべきは終日陰線率が高い事です。負けたくなければ売りで回すべしですね。
日足+2σ下放れ
*注目すべきは、終日陽線率が高い事です。負けたくなければ買いで回すべしですね。
いかがでしょうか。知らずにトレードしていた人は、背筋がぞ〜っとしたことでしょう。
2つの要素の組み合わせにも注目
最後にもう一つだけ他の例を挙げましょう。下表はRSI5日と9日がともに20以下の時、当日が上窓、下窓の場合です。期間などは上記と同じです。
上窓+RSI5日と9日<=20
*注目すべきは終日陰線率が高い事です。負けたくなければ売りで回すべしですね。
下窓+RSI5日と9日<=20
*注目すべきは、終日陽線率が高い事です。負けたくなければ買いで回すべしですね。
さて、寄り付きデータを分析することで、時間帯別の値動きに影響があることはお判りいただけたと思います。他にも陰陽線率が高くなるたくさんの例があります。
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影響を受けるのは値動きだけではない
しかし、影響を与えるのは値動きだけではありません。例えば、ボラティリティやレンジブレイク手法の成功率も大きな影響を受けることになります。
ボラティリティが受ける影響
もう一度、下の400円以上のギャップアップの時間帯別データの9:00〜12:30の「平均陽線・陰線」をご覧ください。これは当該時間帯の始値と終値の差、つまりローソク足の実体部分の値幅です。陰線・陽線ともに100円以上動いていますね。ところが、5062件の平均値幅は陰線・陽線とも73円ぐらいです。これは、寄り付きの大きな動きで相場が活気づいて、取引量が大幅に増え、ボラティリティも高くなることを意味します。
レンジブレイク成功率への影響
下表は、3つ目の例と同じ条件で寄り付いた場合の15分〜120分の5つのレンジブレイクの成功率の一覧表です。ブレイク発生で成り行きでエントリーして引け成りで手仕舞いという手法です。
上窓+RSI5日と9日<=20
*注目すべきは、時間帯別値動きは陰線率が高いのに、レンジブレイクは逆に上にブレイクで買っていく方が成功率が高いことです。一方、下にブレイクで売っていくとぼろ負けします。
下窓+RSI5日と9日<=20
*注目すべきは、時間帯別値動きは陽線率が高いのに、レンジブレイクは逆に下にブレイクで売っていく方が成功率が高いことです。上にブレイクで買っていくとぼろ負けします。
この最後のレンジブレイクのデータは、「メインシナリオに逆行する動きが出た場合は極めて強い」と言うことになります。これはいったい何を意味するのでしょうか。7割ぐらいの確率で動く方向と逆方向へ動くときは、かなり大きな勢力が存在して、相場を力づくで逆行させようとしている、と言うことになるのでしょう。ですから、相場の一つの格言として、「メインシナリオに逆行する動きに付け」を覚えておくといいと思います。
ザラ場の値動き分析ツール『シミュレーター』
シミュレーターの基本機能は、上述のような当日のギャップ幅や重要指標のブレイクなど、相場の値動きに影響を与えるテクニカル分析データを抽出条件として設定し、その条件に該当する日の値動きデータを抽出・集計して、寄り付き以降の値動きを15分〜30分毎に一瞬で表示する値動き分析ツールです。
ですから、寄り付き前に、当日のギャップ幅や指標ブレイクなどの情報を抽出条件として設定し、ザラ場の値動きパターンを予め分析しておけば、より優位性のあるデイトレードを行うことができます。ほとんどの抽出条件設定はボタンをクリックするだけで行えますから、数分で作業が終わります。もし、寄り前の気配値が大きく変化する様なら、シミュレーション作業をやり直すことも容易にできます。
シミュレーターのデータベースには1999年3月から前日までの分足レベルの値動きデータが収納されています。また、68の項目で抽出条件を設定することができ、様々な角度からの分析作業が可能です。
また、寄り成りやレンジブレイクでエントリーした場合の売りと買いの勝率や損益額をシミュレーションすることもできます。同時に、分割決済の値幅、枚数、損切幅、トレーディングストップの有無などを設定して、よりリアルなデイトレードのパフォーマンスをシミュレーションすることもできます。
実際、トレイドエイドが有料セミナーで公開しているトレード手法の多くが、このツールで分析したデータを活用して構築されています。自動売買システム構築やトレード手法開発のための統計データ分析にうってつけのエキスパートシステムと言えます。
このシステムはマイクロソフト社のExcel上に作られていますので、同ソフトウェア上でのみ稼働します。当サイトではExcel2007以上で稼働することを確認済みです。
無料で使えるシミュレーターFOCのダウンロード
シミュレーターの機能
1.抽出条件設定項目
直近3日間のローソク足形状とギャップ
当日のギャップ幅や方向、窓開けの有無。直近3日間のギャップ幅、値幅、窓開けの有無などを設定できます。二空・三空や大陽線・大陰線の後の値動きなども分析できます。
各種テクニカル指標設定
ピボットの支持抵抗線との位置関係、長短MAの並び、オシレーターの数値、データ期間などを設定できます。
寄り付きからの時間帯
寄り付きから30分ごとの陰陽線幅を指定できます。例えば、12:30までが陽線だった日の後場の値動きパターンなどを分析できます。
指標ブレイク(MA,一目均衡表、ボリンジャーバンド)
3つの重要なテクニカル指標の上放れ・下放れの場合の分析ができます。移動平均線は任意の日数で5本を設定できます。ボリンジャーバンド中心線も同期されます。
ザラ場日足高安値更新
ザラ場で前の日の高安値更新の有無を指定できます。したがって、ハラミ足、包み足の設定も可能です。
前日MA乖離率
前日BB乖離率
前日終値時点での各BBσラインとの乖離率の範囲を指定できます。
2.表示できるデータ
寄り付きから15分間と9時から30分ごとの時間帯別値動きデータ
9時半から10時、10時から10時半のような中間時間帯での値動きデータ
前場・後場・日足の値動きデータ
3.トレードのパフォーマンス(勝率や損益額)分析
寄り付きでエントリーした場合の決済時刻別勝率や損益額
15分・30分・60分・90分・120分のレンジブレイクでエントリーした場合の勝率と損益額
イニシャルレンジブレイクアウトの発生時間帯別・決済時間帯別の勝率と損益額
分割決済設定
4.レポート作成機能
時間帯別値動き年度別レポート
抽出したデータを年度別に仕分けてレポートを作成します。手法開発の際、年によって傾向が偏向しているかどうかを調べることができます。
寄り付きの仕掛け累計損益グラフ
手法開発の際、累計損益をグラフ化して、安定した収益が積みあがるか否かを調べることができます。
寄り付きの仕掛け損切付き損益レポート
分割決済の注文ごとに、利益確定ができたか、損切となったかを検証することができます。リアルトレードにかなり近いシミュレーションです。
レンジブレイクアウト損切条件付き損益レポート
分割決済の注文ごとに、利益確定ができたか、損切となったかを5分足データを使って検証することができます。リアルトレードに極めて近いシミュレーションです。
毎朝の値動きをシミュレーション
毎朝の値動きシミュレーション例
二空を形成して寄り付き
三空を形成して寄り付き
支持抵抗線ブレイクでの値動き分析
日足−2σ下放れ
日足+2σ上放れ
シミュレーターの構造・仕組み
シミュレーターの構造・仕組み−200円以上のギャップアップを例に解説
200円以上のギャップアップと5日MAを上放れの場合
長短移動平均線の並びがブルパターンの時、上窓・二空を形成して始まった場合