フェイクアウト

皆さんはレンジブレイクと言う手法をご存じだと思います。また、多くの方がこの手法を試されたことと思います。代表的な手法としては「イニシャルレンジ・ブレイクアウト」があります。ご存じのとおり、寄り付きから1時間に出来た高値・安値のレンジの事をイニシャルレンジと呼び、このレンジを上か下かブレイクしたほうへ順張りで仕掛けると言った手法ですね。

 

 この手法があまりに有名であるがために、これを逆手にとってブレイクした方と反対方向へ仕掛けてくる勢力がいます。いわゆるタートルスープと呼ばれる勢力ですね。また、ブレイクをへこませた方に付く手法を「フェイクアウト」と呼びます。「フェイク」=「だます・だまし」ですね。

 

 実はイニシャルレンジブレイクアウト(IRB)は、相場つきによってはブレイクした方向へすんなり動くことは少なく、このフェイクアウト勢力との攻防によって数十円幅で値ブレが発生することが多いのです。だから、損切り幅を20〜30円で設定していると、順方向へ進む前に値ブレによってロスカットに引っかかってしまう事も多いのです。もし、ブレイクから大引けまで引っ張ると言う手法であれば、損切り幅を80〜100円程度に設定するとパフォーマンスは目に見えて上がります(2000年〜2010年6月のデータ)。ただ、それでも何のフィルターもかけずにすべてのブレイクで逆指値で仕掛けると、利益はほとんどトントンのレベルになってしまって手数料負けすることになります。何度も何度もフェイクにやられるので、ブレイクでは仕掛けるのを見送るトレーダーも多いはずです。

 

 もし、順張りと逆張りのどちらが有利かがあらかじめ分かるような兆候を見つけることができれば、これは大いに役立つはずですね。これがわかれば勝つ確率の高いほうへつけばいいのですから、IRBの持つ意味が大きく変わります。すなわち、順張りするかしないかの一方向だけの仕掛けポイントとしてではなく、順張りか逆張りかより有利な方向への仕掛けを選ぶべきポイントに変わると言う事です。

 

 では、そのような兆候を示唆してくれる便利なデータなり指標なりが存在するのでしょうか。答えは「イエス」。私たちのWebセミナー「基本コース」では、IRBの際に順張りで仕掛ける場合はいつも1つの大変有効なフィルターを掛けています。それは、「ブレイクの時点でカウンター・シグナル発動中、もしくはブレイク足終値でカウンターシグナルが発動する可能性がある場合は、IRBでは仕掛けない」と言うものです。つまり、ブレイクポイントが逆張りの仕掛けポイントと重なっていたら、順張りのIRBはひとまず保留して、先にフェイクアウト狙いで仕掛けると言うわけです。

 

 な〜んだ、と思われるかもしれませんが、これより合理的な方法はありますか。「値幅と時間」の講義で説明した通り、これらの限界点が同期するところは天底になる可能性が高くなります。逆張りを仕掛ける仕掛けないは別にしても、少なくとも、こういった条件が重なっているところで順張りで仕掛けるのはやめた方がいいと言う事になるでしょう。

 

 また、勝率が低下してストレスが発生するようになる局面では、フィルターの数を6つに引き上げることもあります。IRBの損益を左右する要素がこれだけあると言う事は、フェイクを見抜く方法は意外と簡単に見つかるという事です。

 

 IRBと言う手法のタイムフレームの長さ、順張りと言う仕掛け位置から狙える値幅の限界点などを考慮すれば、必然的にどういう種類のデータをフィルターとして活用すればいいのかがわかってくるでしょう。


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